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高畑西島八幡神社から次の訪問地を目指していると大きな樹冠が見えたので寄り道をしました。さほど大きなクスノキではなかったのですが、「印石」という珍しい文化財が境内にありましたので、クスの巨樹と共にとして取り上げました。
暴れ川であった吉野川周辺には洪水に関する遺跡が多くあります。「印石」もそのひとつで、洪水対策として住民が築いた堤にまつわる遺跡です。「印石」は産神社の鳥居横にあり、高さ1.3mほどの青石製の2枚の石柱と説明板があります。
氾濫防止のために築かれた堤防の高さをめぐる川の両岸の対立を静めるために設置された石柱で、高さが1m程の所に線が一本刻まれているのが特徴です。嘉永6年(1853)、堤防をもっと高くしたい本村地区の住民が中州地区の住民に断りもなく堤防にさらに土を盛ったため、両地区間で争いが再発しました。時の郡代は、今後同様の争いが起こらないようにと、「印石」と刻まれた石柱に堤防の高さを示す線を彫り、堤防の各所に埋め込んだのが現在に残る印石です。
さてクスノキは神社社殿の西側にあり、イチョウの巨木とその幹周を競っています。幹周実測値は4.63mでクスノキとしてはさほどの巨樹ではありませんが、吉野川流域のことですから巨樹に育つことでしょう。吉野川の氾濫は災害と共に肥沃な大地を提供してきたので、今でも多くの巨樹が存在します。
近くには「天神のイチョウ」、「矢神のイチョウ」などの巨樹が存在します。
(HP管理者) |